灯台がいい場所だとは以前から聞いていた。
「いすみで一番眺めがいい場所」という人や「仕事で行き詰まった時に行くと気持ちが晴れやかになった」という人もいて、その人たちは「え、まだ行ったことないの?行ったほうがいいよ」と私に勧めた。
そんなにいいなら行ってみたいなと思っていた頃、神奈川県に住む妹家族が遊びにきたので、一緒に行くことにした。
何度か我が家に遊びに来たことがある妹家族も「いいところなら行ってみたい」と乗り気。
道に立っている案内に従い細道を進み坂道を登る。
道幅は狭く路面はガタガタ、勾配もきついのでドキドキする。
対向車が来たらどうすれ違うのかは考えたくないのでただ来ないことを祈るのみ。
体感時間15分、実質5分くらい登り続けると視界が開け、広場に出た。
車を停め、強い風を受けながら展望台へ上がると目の前は一面の海。
「うわーっ」「おーー」それぞれに歓声をあげ、目の前に広がるながーい水平線を見渡した。
視界に収まりきらない長さと広さ。
しばらくの間、何も言わずただ水平線を見つめた。
深呼吸してみる。
この場所の、突き抜けた開放感を思いっきり吸い込んでみたくなった。
それから身体を伸ばしたくなって腕を上や横に伸ばして背伸びした。風が耳元でごうごういっている。
水平線の広さ、空の高さ、強い風、笑っちゃうくらい全てが気持ちいい。
右を見ると海岸線と、こんもりした山と田んぼも見える。
「あそこが大原海岸かな」「あっちは国吉の方かな」といつもと違って見えるいつもの町を眺めた。
海と里山のあるいすみらしい景色に心が和む。良いところに住んでるな、とわが町を眺めてなんだか誇らしくなった。
子供達は海を眺めるのに飽きたのか展望台をぐるぐると走り回り始めた。
灯台もあったが中には入れないようだったので、じゃあ帰ろうか、と風に押されるように展望台をあとにした。
「いいとこだったね」と妹家族から認定をもらった。
私はもちろん、今度誰かに「行ったほうがいいよ」と勧めることを心に決めた。