ビンゴになったら「エビンゴ!」と叫ぶのが港の朝市の決まりらしい。
漁港の入口にでかでかと掲示されたポスターには立派な伊勢海老の写真と「機械根伊勢海老が当たる!!エビンゴ!」の文字。
噂に聞いていた、伊勢海老の当たるビンゴだ。
全国的にはほとんど知られていないが、いすみ市の大原漁港は日本有数の伊勢海老の漁獲量を誇る。
「伊勢」の海老は千葉で手に入るということだ。
いすみに住んで約4年だが、妊娠中だったりコロナで朝市が中止になったりでようやく訪れることができた。朝市に着いたのはビンゴの開始の1時間前だったので、とりあえずビンゴカードを購入して朝ごはんを調達することにした。
たこ飯、海老飯、たこ串、たこ焼きそば、海老味噌汁、、、のぼりや商品を見てまわるとお腹が空いてくるのが不思議だ。
活きた伊勢海老やサザエを売っているお店もある。
見ればバーベキュースペースもあって、その場で焼いて食べられるようだ。
5、6席くらいのバーベキュー席は全て埋まっていて、空くとすぐに〇〇さーん、と受付の人が呼ぶ声がしていたので予約待ちの人気席とみえる。
家族四人で来た私達は空いたテーブルに座り、たこ飯とたこ焼きそばを買いに行った。
たこ飯を売っているお店はいくつかあるので、どこが美味しいかは自分の感覚を信じて選んだ。
たこ焼きそばは器に盛り盛りで、しかも熱々だったのでテーブルに着くまで何度か「あっつ」と言って途中のテーブルで休憩させてもらった。
たこ飯もたこ焼きそばも美味。
たこのプリプリした食感と香りがなんとも美味しい。
賑やかなところで食べると美味しさも増す気がする。
ご飯と焼きそばはすぐに食べてしまい、ビンゴまではまだ時間があった。
お腹にもまだ空きがある。
さっき見つけていたフライドポテトとフルーツサンドを買うことにした。
ポテトを注文するとインド人(多分)の店主はマッシュポテトのような滑らかなのを容器に入れて油の入った鍋の上でところてんのように押出し、長いフライドポテトを作ってくれた。
おじさんおすすめのオリジナルソースがめちゃくちゃ美味しかった。
お菓子屋さんのフルーツサンドも美味しくて、子供と分け合って食べた。
ご飯からデザートまでそろうなんて、朝市良いわあ。
お腹が満たされた頃ビンゴが始まった。
まずはビンゴになったときの練習から。
ビンゴになったら「エビンゴ!」、リーチは「エビーチ!」と言うそう。
誰しもテンションが上がると基本的なことを忘れがちだから、皆んなで何度も練習。
それからビンゴが始まった。
私のビンゴカード、進み出しは順調だった。ただ中盤から全く開かなくなった。
次第にエビーチやエビンゴの人が前に集まって景品をもらっていく。
伊勢海老は最初、中盤、一番最後の景品になっていて、それ以外は朝市のそれぞれの店舗での景品引換券だそう。
最初は伊勢海老狙いだったものの、全く開かなくなるとなんでもいいから当たりたくなってくる。
一番最後にも伊勢海老があると聞かされたからか、エビンゴ参加者の集中力はなかなかのものだった。
司会者には絶えず熱い視線が注がれ、後半になると一つ数字を読み上げるごとに複数の「エビンゴ!」の声が前に駆けていった。
しかし読み上げられる数字はどれも私のカードに無いものばかり。
結局、大勢のエビンゴ者を見送ることに終始し、私のカードはエビーチにも達しないままエビンゴは終了した。
異様な熱気のエビンゴの輪から少し離れて私を待っていてくれた夫と子供はなぜかニコニコしていて、ビンゴカードと引き換えのうまい棒に子供は喜んだ。
伊勢海老は当たらなかったが、美味しいものを食べたからかみんなご機嫌だった。
「じゃ、今日はこれからどこ行こうか?」朝市が楽しかったから、今日はいい日曜日になる気がした。